『文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために (集英社新書)』
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「文学作品はもういい! 実社会で使われるような文章を読ませるべきだ!」
そんな声に押され、国語教育の大改造が始まった。
文科省が重視したのは実用性。
文学はこの枠には入らないという。
しかし、この考え方は正しいのか?
文章を読む際に大事なのはことばの「形」を見極める力だと著者は言う。
そこを鍛えるトレーニングをしたい。
その助けになるのが文学作品を読む技術なのだ。
本書では契約書、料理本のレシピ、広告、ワクチン接種の注意書き、小説、詩など幅広い実例を用いて「形」を読む方法を指南する。
それは、生成AIが生み出す「文章」と渡り合う際にも格好の助けになるだろう。
画期的な日本語読本の誕生!
【目次】
第1章 学習指導要領を読む
第2章 料理本を読む
第3章 広告を読む
第4章 断片を読む
第5章 注意書きを読む
第6章 挨拶を読む
第7章 契約書を読む(1)
第8章 契約書を読む(2)
第9章 小説を読む
第10章 詩を読む
【著者略歴】
阿部公彦(あべ まさひこ)
1966年生まれ。
東京大学文学部教授。
専門は英米文学。
東京大学大学院修士課程修了、ケンブリッジ大学大学院博士号取得。
訳書に『フランク・オコナー短篇集』(岩波文庫)、共著に『ことばの危機』(集英社新書)、著書に『事務に踊る人々』(講談社)『名作をいじる』(立東舎)『小説的思考のススメ』(東京大学出版会)『英詩のわかり方』(研究社)『病んだ言葉 癒やす言葉 生きる言葉』(青土社)など。
“内容のことばかり考え、頭でっかちになると、入れ物のことを忘れがちになります。どんなことばで、どう語るかを準備しなければ、演説も文章も効果を発揮しないでしょう”
掟を示すもので箇条書きがよく使われるのはなぜか、という「形」への注目は実に面白い。
料理本の文章が、かくも上機嫌なのはなぜか、という問い立ても面白い。